夜と世の物語【12】

祭りの夜、一人で夜道を歩く女を見た。小石を蹴りながらふらふらと歩いている。

はじめは酔っぱらってるのかと思ったがどうもそういう様子じゃなさそうだ。

少し心配だったんで付いて行ってみた。

小柄で華奢だが、痩せすぎているわけじゃない。歳はわからん。

ん、なにやら立ち止まっている。まさかアヘンやらの薬をやってるんじゃないだろうな!それとも自殺か?

どっちにしても放っておくわけにはいかないと思った。何故かはわからん。でも思った。暗がりで声をかけると驚かせてしまうから肩を叩こう。

 

 

殴られた。思い切り。顔面だ。ひりひりする上にたぶん明日までは手形は消えねえだろう。いてえ。いてえ。

薬や自殺じゃなさそうだが、本当になんだったんだ。

なんにせよ女を怒らせたんだ。詫びをいれないとな。